注文住宅が完成したら・・・

竣工と引渡し

住宅が出来上がったら完了検査申請書をしかるべき機関に提出し、検査を受けてそれに合格したらいよいよ引渡しとなります。 もし検査に不合格だったら問題点を指摘されるはずですので、そこを是正して再検査を受けて2度目こそ合格を目指します。 もしも再び不合格になったらこの手順を合格するまで何度でも繰り返すしかなく、途中で諦めて投げ出すことは不可能なので気合を入れて行いましょう。 仮に諦めるとしたら一旦その建築物を取り壊してもう一度建て直すことになるので、出来上がった物で勝負するしかありません。 工事監理業務を請負っていた設計事務所はそのお仕事も終了となり、工事監理報告書で依頼者に報告を行います。 もしも設計図書を作成した事務所と工事監理業務を行った設計事務所が別々の場合はこの業務は最初の設計事務所によるものではなくなりますが、 そのパターンはあまり多くないかもしれません。あとは工事費用を精算して住宅の引渡しとなります。 建築が始まってからは設計事務所とのやりとりはほとんどありませんが、それでも建物が完成するまでお付き合いすることにはなるでしょうし、 引渡しされるタイミングまで別れの挨拶はとっておきましょう。 その後の不具合やクレームは施工した工務店が受けることになりますが、間に設計事務所が入ってくれる場合もあります。

図面作成ではない業務

このように一旦工事が始まると設計事務所の業務は大きな転換期を迎えます。 イメージだけだと設計図を作成するのが設計事務所の役目で、それ以降のことは施工業者が全てを責任持って進行させると思っている方もいるでしょうが、 図面が完成してからは設計っぽくない業務を引き受けてくれるのです。 工事請負契約では書類に不備が無いかをチェックしてくれるだけではなく、公平な契約を結べるようその場に同席してくれますし、 工事が始まったら図面どおり、契約どおりに作業をしているかの確認も行ってくれます。 この工事監理業務はちょっとわかりにくいかもしれませんが、作業をチェックするといっても現場監督の役割をしているのではありません。 場合によっては作業に口出しをすることもありますが、基本的には工事の計画に対しての監督、アドバイザーに近いでしょう。 時には施主と施工会社の間に入って円滑に打ち合わせができるよう潤滑油の役割をしてくれることもありますし、 施主の立場になっていろいろと代理めいたことを引き受けてくれます。 他にも役所なりに提出する書類を作成したりと、図面を作成する以外にも多くの業務をこなしてくれるスーパーマンのような働き者なのです。 最初から設計事務所には設計以外のことは頼まない、と話をしていれば工事が始まってからの業務は管轄外になりますが、 そうでなければ竣工まで多くの仕事をやってくれるのです。

設計事務所と工務店

ここまで注文住宅の建築と設計を別々の業者に依頼するケースで解説してきましたが、その理由はそうした方が総費用が安くなると思われるからです。 建築と設計を両方とも同じ業者に依頼すると競争が生まれないのです。 ある業者さんに設計をお願いして図面を作成して、気に入ったからそれでお願いしますとなった場合ですが、 その業者に施工してもらうとなるともう相手の言い値で契約するしかありません。 見積りを出してもらってそこからなんだかんだで多少の値引きめいたことはしてくれるでしょうが、競争相手がいないのでやや割高な金額を提示される可能性は否めない、 これは仕方のないことです。 ですが設計と施工を別にすれば、完成した図面で数社の工務店に見積りを出してもらいその中から一番よさそうな業者と契約することができるのです。 やることが増えて面倒かとは思いますがそれで得られる恩恵は大きく、金額で表わすと数百万円は違いが出ることもありますので、 どうしても一括で一箇所に依頼しなければならない理由がある場合を除き、別々に業者を選定することを勧めないわけにはいかないのです。 どうしても今すぐにでも仕事が欲しい工務店がかなり頑張った見積りを出してくれるかもしれませんし、合い見積りのメリットは大きいのです。 額の大きな契約になるので多少の手間は惜しんではいけません。