注文住宅の第一歩・基本設計

実施設計

ベースとなる設計が出来上がったらより細部の設計も進めていきます。 後々建築工事をするにあたりそうした設計図が必要になりますし、その前に費用の見積りを出すのにも使われるので早い段階でまとめておく必要もあります。 建築設計事務所に工事も請負ってもらうか別の建築会社にするかはともかく、工事費の概算がいつまでもわからないままでは クライアントも次第に不安になってしまいますし、あらかじめ予算を伝えてあるにせよオーバーしそうなら早めにそれを察知して対応せねばならないので、 見積りは早急にだすべきです。 この段階では間取りだけではなく、床の材質やお風呂場のタイル、浴槽なんかの設備類も全て決定していきます。 このお部屋は和室にするから畳を、廊下の木材にはこれをチョイスして、外壁材にはこのメーカーのこのカラーの品を使いましょう、と かなり細かい部分までが対象になりますが、ちょっとしたことなら後から修正可能ですのであまり慎重にならずにどんどん決めていく速度を重視しましょう。 ただし基本設計に影響が出るような変更は難しいので、「このシステムキッチンだと少し手狭だからもうひとまわり大きなのにチェンジして下さい」のような要求は、 スペースが足りない場合は却下するしかありません。 間取りを修正しなければならないような変更はもっと早めにしなければならない、そのことは覚えておくといいでしょう。

構造設計

そこそこ大きな建築物だと構造計算をしてドッシリとした建物になるよう設計をしなければなりませんが、こじんまりとした住宅でもやったほうが安心です。 これは建物の荷重や地震のことを考えてされるもので、ちゃんとできていないと数年で崩壊してしまう可能性もあるので手抜きはできません。 たまに海外で大きな地震があったわけでもないのに橋が崩れたり、ビルが傾いてニュースになっていますが、 そうした建造物は構造設計がまともにされていなかったことが原因のひとつと考えられています。 単純に手抜き工事であったり材料費を浮かせるために鉄筋の量を設計時よりも減らしているケースもありますが、 きちんとした構造設計を忠実に守っていたのなら起きなかった事故がほとんどだと思われます。 日本は地面が揺れる回数が多く、また激しめなので構造設計は力を入れて行う必要があるとされています。 大きな地震でも崩壊しない住宅になるよう国の定めた基準もありますし、それをクリアするように設計しなければなりません。 その建築物の構造やメインの材質なんかによっても求められる強度は違いますし、依頼者が口出しできる分野ではないので設計事務所に全てお任せするしかありませんが、 どこまで頑丈にするか位は希望を出してもいいでしょう。 絶対に壊れない強度でお願い、コストが高くなってもいいから、のようにです。

図面の種類

住宅ひとつ建てるのにもとにかくたくさんの図面が作成されますが、その業界で生計を立てている人でなければほとんど見たことのないものばかりでしょう。 間取りが分かりやすく記載されている図面なら不動産屋や新聞の広告なんかで目にしたこともあるでしょうが、 それとは比較にならない程複雑な図面が山ほど作成されますので、目を通すだけでも頭痛が発生する人もいそうです。 3次元の建造物を2次元の設計図に丸々収めようとするのですから情報量は莫大になりますし、紙の枚数もまた然りです。 簡単なものですと平面詳細図、面積計算図、建具配置図などがありますがそれすらも初見だという人がほとんどでしょう。 電気関係設備図、空調換気設備図、給排水衛生設備図になると素人が見てもさっぱり理解できない図面になり、 チラリと見て「ふーん、なかなかいいんじゃないですか」とおざなりな感想を述べてさっさと忘れ去るだけです。 だからと言って作成しなくてもいい図面ではありませんし、施主にも見てもらおうとするのも設計事務所ならわりと普通の考え方ですので あまり邪険に対応するのはよくないかもしれません。 仕様仕上表なんかは確認に値するでしょうが、それ以外の図面も一通りチェックして、その存在を忘れるようなことはしないで下さい。 ひょっとしたら後から役立つかもしれません。